映画と映像とテキストと

映画や読んだ本などの感想を書きます。ビデオゲームについてはこちら→http://turqu-videogame.hatenablog.com/

感想

『宮本武蔵』を観た

1961年。内田吐夢監督。叫ぶ。みんなが叫ぶ。それがちょっと面白い。そして笑う。狂ったように笑う。最後、武蔵が牢に入れられる流れがすごく急テンポで、なんというか、それもおかしな感じがして面白い。そして武蔵が書物を読み、学問を学ぶことでいきなり…

『12人の優しい日本人』を観た

1991年(平成3年)。中原俊監督。『桜の園』の監督の作品だということを今回初めて意識して見たが、独特のセリフの間合いとか、室内の埃の舞いが光をたたえるような感じが、確かに『桜の園』に似てるような気もした。三谷幸喜の脚本が面白いのはもちろんなの…

『タバコ・ロード』を観た

1941年。ジョン・フォード監督。びっくりした。なんかあまり気乗りがしないままに見始めたのたが、終盤ではなんだかとんでもないものを見させられた気分になった。 喜劇なんだけど、ほとんどマトモな人間が出てこない狂乱の映画であり、恐怖さえ覚える。息子…

『拳銃王』を観た

1950年。ヘンリー・キング監督。西部一の早撃ちと名高いジミー・リンゴの物語。カイエンの酒場を舞台に入れ替わり立ち替わり、様々な人間がリンゴに会いにくる。その様が非常に面白い。ある者はリンゴに勝負を挑み、ある者は追放しようとし、ある者はかつて…

『赤い河』を観た

1948年。ハワード・ホークス監督。素晴らしく面白かった。西部劇の要素が詰まった傑作。ラストの「え?なんなんそれ、なんなん!?」まで含めて、本当に面白かった。ベスト1西部劇に挙げるのはやや抵抗があるけれど、人にオススメしたい西部劇としてはナンバ…

『蜘蛛巣城』を観た

1957年。黒澤明監督。面白い。浅茅の怖さ。良い。三船が砦を上下に行ったり来たりするカット、本当にかっこいい。マクベスの翻案だということを意識したせいか、とても演劇的な映画だなあという印象を受けた。特に室内で1人の人間を頭から足まで中距離から全…

『アパッチの怒り』を観た

1954年。ダグラス ・サーク監督。サーク監督の西部劇!ということでかなり楽しみにしていた作品だったが、やや肩透かしを喰らったような、素朴に面白い作品というわけではないかった。しかしこれは「サークの映画だ」という意識があるからかもしれないが、80…

『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』を観た

2014年。ジェームズ・ガン監督。最初にこの映画を劇場で見たときにとても意外だった。ものすごく楽しめたからだ。この手の色々なキャラクターが集まって、ドタバタコメディーのノリで、世界を救うというタイプの物語は自分は好きではないと思っていたから、…

『チャップリンの殺人狂時代』を観た

1947年。チャールズ・チャップリン監督。面白かった。今まで見たチャップリンの映画の中では、一番すんなりと見れたような気がする。今までチャップリンの映画にはどうしても苦手意識があったのだけど、本作はそういう感覚をあまり抱かなかった。 資本主義と…

『バトルシップ』を観た

2012年。ピーター・バーグ監督。バカっぽさと分かりやすい盛り上がり、というのはもちろん理解できるのだけど、僕はもう少し愛嬌と粋のあるバカの方が好きだなと思った。 戦艦ミズーリが敵に立ち向かうところは熱いと思うしとても良いと思うのだけど、パブロ…

『日本のいちばん長い日』を観た

1967年。岡本喜八監督。面白い。長いのに、全く退屈しない。毎年のように見ているが、面白い。なんというか、日本を好きになれる映画じゃないだろうか。そういう意味では『シン・ゴジラ』と似ているし、また批判もされるのだろう。しかし私はこのくらいのユ…

『ベニスに死す』を観た

1971年。ルキノ・ヴィスコンティ監督。凄かった。高校生の頃に見たときには、「おお、なかなか面白い映画じゃないか」なんて気取ってハスに構えていたが、この年になって見てみると、もう刺さりまくるのなんの。 通俗的な陰キャの初老の芸術家。もう、この歳…

『グラン・プリ』を観た

1966年。ジョン・フランケンハイマー監督。『フォードVSフェラーリ』を観て以来、いつか見ようと思っていた『グラン・プリ』を観た。面白かった。部分的には、大袈裟すぎるとかベタすぎるような感じもあるのだが、レースシーンの見応えと、説明しすぎないや…

『東京オリンピック』を観た

1965年(昭和40年)。市川崑総監督。素晴らしい作品だった。2020年7月23日。本当だったら、2020年の東京オリンピックが開催されるかもしれなかったこの時期に、1964年の東京オリンピックの映画を見るのは楽しい体験だった。あらゆるスポーツを憎み、オリンピ…

『サイコ』を観た

1960年。アルフレッド・ヒッチコック監督。すべてが緻密で面白い。なぜ1人目の女性は殺されねばならなかったのか。殺される女性の行為や言動をあそこまで見せることの偏執さが面白い。横領も恋人との逢瀬も社長との関係も、すべてが殺人の前に消え去ってしま…

『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:Q』を観た

2012年。庵野秀明総監督。新劇場版の中で、今のところ一番分かりやすい作品が『Q』だと思う。意味不明の置いてけぼり、という雰囲気ではあるのだけど、いい大人になった製作者がエヴァを改めて今描くために当たり前のことをやっているのが『Q』だと思う。201…

『モダン ・タイムス』を観た

1936年。チャールズ・チャップリン監督。やはり苦手なチャップリン。デモ行進にいつの間にか紛れて、大人数をチャップリンが率いることになってしまうあのシーンは本当に凄いと思った。結局チャップリン自身が政治的な主張をするわけではないし、市井の人の…

『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破』を観た。

2009年。庵野秀明総監督。『破』はすべてがどうでもいいような感じに思える。今のところ、三作の中で一番退屈に感じる。 三体同時攻撃も、エヴァの使徒による乗っ取られも、シンジの離脱からの復帰も、すべてがどうでもいい。ただ、司令室を突き破って使徒を…

『エヴァンゲリオン 新劇場版 : 序』を観た

2007年。庵野秀明総監督。ビル群がにょきにょき生える絵の面白さ。『序』はヤシマ作戦という鉄板の展開もあり、とても楽しい。昔見た時よりも、エヴァのキャラクター達の語る世界観にも、キャラ造形にも、台詞にも、全く思い入れが生まれず、心底どうでもい…

『機動警察パトレイバー 2 the Movie』を観た

1993年。押井守監督。やはりパート2の方が好きだ。パート2の高慢な感じというか、状況説明で色々と乗り切ろうとするような感じが多分好きなんだと思う。描かれる思想や信条の内容というのは比較的どうでもよく、全ての言葉が視覚的でもあるような気がする。…

『翔んで埼玉』を観た

2019年。武内英樹監督。意外に面白かった。ギャグとしてやる悪ノリもそんなに嫌な感じがしなかった。結構真面目さが作品に通底していて、それを感じ取ったからかもしれない。 終盤で加藤諒が「馬鹿にされるのが嫌だったのに、薄ら笑いを浮かべてなんでもない…

『チャップリンの黄金狂時代』を観た。

1925年。チャールズ・チャップリン監督。雪山の山荘の絵といい、室内の絵といい、実に素敵。しかし僕はどうもチャップリンの映画が苦手だ。なぜなのかよく分からないが、尻の座りの悪さを感じてしまう。 チャップリンのあの顔がとにかく苦手。とても立派な人…

『さらば、わが愛/覇王別姫』を観た

1993年。陳凱歌(チェン・カイコー〕監督。とにかくテンポがいい。印象的なエピソードがポンポンポンと立て続けに展開していく。歴史物語としても、恋愛劇としても、人間ドラマとしても、とにかくよくできていて面白い。 中国政府の描き方も、そんなに良い風…

『時をかける少女』を観た。

1983年。大林宣彦監督。尾道は確かに絵になる。ただ、何がこの映画の魅力であるのか、最後までよく分からなかった。SFとしての物語は、普通に楽しめるもので、なるほどと思うわけだが、これが映画として何を見せたいのか分からなかった。自分には大林宣彦が…

『太陽がいっぱい』を観た

1960年。ルネ・クレマン監督。主人公のアラン・ドロンが一体何を考えているのか。そこに精神というか、主体というか、そういうものを感じ取れないところがあって、その不気味さが面白い。アラン・ドロンが虐められる場面でも、彼が殺人を犯す場面でも、彼が…

『ミッドサマー ディレクターズカット版』を観た

2020年。アリ・アスター監督。うーん。なんというか、世代、なんだろうか。一つ下の世代の、うまく腹落ちしない感覚。歳を取ったのかな。前作『ヘレディタリー』は、そうしたモヤモヤを感じつつも「まだ、面白い」と思えたけれど、本作には強い反発心を覚え…

『ブラックパンサー』を観た

2018年。ライアン・カイル・クーグラー監督。テレビ放映の吹替での鑑賞。うーん、面白くなかった。というか、何が描きたいのか分からなかった。自分が黒人文化というものへの理解が低すぎるからかもしれない。最近見たつまらなかったアメコミ映画というと『…

『アウトレイジ 最終章』を観た

2017年。北野武監督。あまり良い評判を聞かなかった3作目。確かに前2作に比べると、ちょっと展開が強引で、武演じる大友の無鉄砲さがある意味最もコミカルだったと言えるかもしれない。 しかし、それでも自分は面白い作品だったと思う。大友と彼が身を寄せる…

『影の軍隊』を観た

1969年。ジャン=ピエール・メルヴィル監督。レジスタンスを描く映画であり、その生き様や振る舞いの冷酷さが光る作品。そしてその過酷な生き様を強いたナチスや戦争というものの悲惨さが、画面の奥の方から響いてくる。作品の面白さはさることながら、リノ…

『巴里の屋根の下』を観た。

1930年。ルネ・クレール監督。ああ、映像が切ないというのは、こういうことを言うんだなと思った。歌声が消えていくラストシーン、煙突の見える様々な家の屋根と空。人間のいたたまれないほどの小ささと、その掛け替えのなさ。1930年というトーキーとサイレ…