映画と映像とテキストと

映画や読んだ本などの感想を書きます。ビデオゲームについてはこちら→http://turqu-videogame.hatenablog.com/

感想

『影の軍隊』を観た

1969年。ジャン=ピエール・メルヴィル監督。レジスタンスを描く映画であり、その生き様や振る舞いの冷酷さが光る作品。そしてその過酷な生き様を強いたナチスや戦争というものの悲惨さが、画面の奥の方から響いてくる。作品の面白さはさることながら、リノ…

『巴里の屋根の下』を観た。

1930年。ルネ・クレール監督。ああ、映像が切ないというのは、こういうことを言うんだなと思った。歌声が消えていくラストシーン、煙突の見える様々な家の屋根と空。人間のいたたまれないほどの小ささと、その掛け替えのなさ。1930年というトーキーとサイレ…

『ドーン・オブ・ザ・デッド(ディレクターズカット版)』を観た

2004年。ザック・スナイダー監督。かの名作『ゾンビ』(1978年)のリメイクを作るというのは、なかなかどうして勇気のいることだろう。ショッピングモールという舞台設定だけが同じで、あとは全く異なる作品になったが、素晴らしいゾンビ映画であると思う。 …

『パラサイト 半地下の家族』を観た

2020年。ポン・ジュノ監督。素晴らしかった。面白かった。同監督の他作品では『グエムル』しか観ていなかったし、『グエムル』もそこまでおもろかった印象はなかったので、本作は期待以上に楽しかった。 展開の面白さとテンポの良さなど、作劇に対する評価は…

『グエムル 〜漢江の怪物〜』を観た。

2006年。ポン・ジュノ監督。比較的淡々と物語が進み、そこまで面白い映画ではなかったけれど、時折ハッとするような美しい絵が出てきてドキッとする。特にラストシーンは素晴らしかった。 物語の序盤から怪物の姿全体を画面に晒すところなどはJ.J.エイブラム…

『墓石と決闘』を観た

1967年。ジョン・スタージェス監督。『OK牧場の決闘』よりもずっと面白かった。ワイアットによる復讐で、どんどんと賞金対象が殺されていき、逮捕できないので、賞金も貰えないという状況になっていくのが、とてもおかしい。協力する奴らみんなが、その事で…

『OK牧場の決闘』を観た

1957年。ジョン・スタージェス監督。つまらなくはない映画だと思うんだけど、なんかあんまり面白くないというか、今ひとつどいつもカッコよくない印象で、どこか散漫としたイメージの映画。 唯一、ドク・ホリデイが、ちょっと味のあるキャラクターのようにも…

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を観た

2019年。片渕須直監督。素晴らしい作品だとは思うんだけど、前作の方が良かったなぁと思ってしまった。前作観賞後に原作を読んだときは、随分と思い切って重要エピソードを削ったなと思ったけど、本作(さらにいくつもの)を見たあとだと、余計に前作の翻案…

『終電車』を観た。

1980年。フランソワ・トリュフォー監督。最初に見たときは大学生の頃、だったと思う。その時も面白かったー、と思ったが、今回もまたやっぱり面白いなと思った。また一段と味わい深くなっている気もする。 最高のNTR物語。トリュフォーはその手のテーマが多…

『天国と地獄』を観た

1963年。黒澤明監督。いやぁ、面白い。時折「え?そうなの?」と思うようなところもあるけれど、エンターテインメントとして面白いから許せてしまう。簾越しに見える刑事の眼差しや、誘拐犯のサングラス顔が花に囲まれた中にニュッと出てくるとところなど、…

『キング・コング』を観た

2005年。ピーター・ジャクソン監督。ピーター・ジャクソンえらいなーと思った。『キングコング: 髑髏島の巨神』(2017年)に比べると50倍くらい面白い。サスペンスとしてもちゃんとしてるし、お話の展開はかなり強引でどうかなってところもあるんだけど、そ…

『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯 特別版』を観た

1973年。サム・ペキンパー監督。既にペキンパーの死後ではあるが、2005年に監督の意思を尊重して再編集されたというバージョン。いやぁ、良かった。サム・ペキンパーの西部劇は、出てくる登場人物の意図が全然読めない行動を取るのが本当に面白い。ずっと黙…

『劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇・螺巌篇』を観た。

2008年、2009年。今石洋之監督。なんだかんだ言って面白かった。理屈とかそういうものを超える気合の勝利というコンセプトなわけで、理屈が足りていないことに不満を持つのはおかしいという話はあると思うのだけど、やはりもう少し展開を駆動するための仕掛…

『ウォッチメン (アルティメット・カット版)』を観た

2009年。ザック・スナイダー監督。213分という長さ。しかし面白い。やはり最高だわ。原作もまあもちろん面白いんだけど、映画版は現代的にちゃんとアップデートされていると思う。「共通の敵を作る事で米ソが仲良くなる」というラストの企みも、原作が当時(…

『男はつらいよ フーテンの寅(3作目)』を観た

1970年。森崎東監督。さくらの登場シーンは少ないけれど、どのシーンのさくらも涙をさそう。柴又から立ち去ろうとする寅さんに「もともとはお兄ちゃんの縁談だったんだもんね。良いお嫁さんに出会えるかもって思ったんだよね」と優しく声をかける。そしてラ…

『スターウォーズ / スカイウォーカーの夜明け』を観た

2019年。J.J.エイブラムス監督。いやいや面白かった。前作のエピソード8が良かっただけに、不安なJ.Jの再登板であったが、良かったと思った。 本作にはとても現代的なためらいを感じて、そこがとても良かった。血統を中心としたスターウォーズサーガに明確な…

『悲しみは空の彼方に』を観た

1959年。ダグラス ・サーク 監督。黒人女性と白人女性がひょんなことから共に暮らす。その半生。人種差別的な問題も当然描かれるわけだが、その描き方が実に現代的に思える。共に生活している白人女性が、黒人女性が築いているコミュニティの存在を全く気づ…

『突撃』を観た

1957年。スタンリー・キューブリック監督。素晴らしい作品だった。戦争映画であり、反戦映画であるが、組織の映画でもあった。主人公は上層部から無茶な作戦を実行することを強要される側であり、かつ部下たちにそれを強要する側でもある。誰か特定の人間が…

『ペンギンハイウェイ』を観た

2018年。石田祐康監督。森見登美彦原作のこういう女性が好きだ映画。森見登美彦映像化作品の中でも好きな方かもしれない。かわいくて、ポップで、ちょっとエッチで、ちょっと衒学的で、ちょっと意味深。雰囲気を浴びるという意味ではとても心地よい映画だっ…

『非情の罠』を観た

1956年。スタンリー・キューブリック監督。ずっと見たかった本作。非情というタイトルほどには暗いサスペンスではなく、ミステリーのような凝ったギミックがあるわけでもなく、しかしなんだか最後まで見続けてしまう力はある作品だった。想像していたような…

『フレンチコネクション』を観た

1971年。ウィリアム・フリードキン監督。高校生の頃に見た時には、話の筋がちゃんと追えなかった割にはなんか面白かったという印象だった。今回見てみると思いの外、話の筋は追いやすく、分かりやすい話だと思った。なぜ当時あんなに理解できなかったのだろ…

『映画すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ』を観た

2019年。まんきゅう監督。ネットでの前評判が異様に高かったが、確かに悪くなかった。作品の芯に「別物は別物。安易に「同じ」としない態度」があり、そこが好みであった。ささきゆうすけさんの以下のツイートが、本作の素晴らしさを的確に語ってくれている…

『穴』を観た

1960年。ジャック ・ベッケル監督。素晴らしい脱獄映画。穴を掘るときの甲高い音が恐ろしい。脱獄の企みを刑務所の中で大声で叫んでいるような怖さがある。脱獄にまつわるサスペンスもとにかく面白いのだが、男たちの友情のエロティックさがたまらない。 配…

『永遠に君を愛す』を観た

2009年。濱口竜介監督。58分の短い作品。濱口映画らしいただならぬ緊張感を感じさせる会話劇が楽しい。新郎新婦も親たちも友人たちも、すべてが虚飾に包まれている中で執り行われる結婚式において、唯一信じられるのは、意外にもこれから夫婦になろうとして…

『牯嶺街少年殺人事件』を観た

1991年。エドワード・ヤン監督。長い映画だが、映画が始まったその最初シーンから、そこに映る画の見事さに惹きつけられる。どのシーンも「こうでしかない」と感じる構図ばかりが出てくることに、本当に奇跡だという感覚を抱き、エドワード・ヤンの凄さにや…

『ジョーカー』を観た。

2019年。トッド・フィリップス監督。なんとも中途半端な映画だった。アメコミの要素を使わなくてもいいんじゃない?とも思うし、別に使ってもいいんだけど、なんというか社会派ドラマとしても実に安直であるように思う。狂気というものを描くのに器質的な問…

『スパイ』を観た

1957年。アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督。精神病院が舞台のスパイをモチーフにした映画、と聞けば非常に期待も高まるというものだが、サスペンスや哲学的な問いが推し進められるような作品ではなく、どこかコミカルで、不思議な感触の映画だった。アン…

『ウエスタン』を観た

1968年。セルジオ・レオーネ監督。引き伸ばされたカットに食い入るように見続ける。その若干大げさとも言える緊張感に、共犯関係を結ぶように参加する。アップした顔の造作の猥雑さからも目が離せない。これもまた映画の力なんだと感じずにはいられない。面…

『美少女戦士セーラームーンR』を観た

1993年。幾原邦彦監督。幾原ワールドがちゃんと展開されていて面白かった。短くていい。日本の『キャプテンマーベル』といった作品であった。

『悪魔のような女』を観た

1955年。アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督。面白い。もう本当に完璧で、見ることに全てがある。暗がりから明かりのついた部屋を覗き込むことの恐怖が、こんなにも魅力的に映像としてフィルムに焼けることの奇跡。いやぁ、楽しかった。ラストのとんでん返…