映画と映像とテクストと

映画や読んだ本などの感想を書きます。ビデオゲームについてはこちら→http://turqu-videogame.hatenablog.com/

映画

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』を観た

2023年。古賀豪監督。面白かった。ただ、そこまで面白いかというと、個人的にはピンとこない感じもあった。確かに昭和の戦後間もないころの雰囲気など、とても興味深い描写があり、そこはとても楽しかった。しかし総じてちゃんと妖怪バトルアニメになってお…

『劇場版 呪術廻戦0』を観た

2021年。朴性厚監督。面白かった。最初、TVの『呪術廻戦』は乗り切れない思いがして見ていなかったが、連続して見ていると楽しい。1期の東西対決のところあたりから、かなり面白く感じるようになってきた。 本作は前日譚というか、五条先生が若い頃の話だが…

『ゲットアウト』を観た

2017年。ジョーダン・ピール監督。なるほどー、こういう映画なんだね。前評判の高さなどから、どういう映画なのか(やや警戒心を抱きつつ)観たけれど、面白かったし、今風だなぁとつくづく思った。 白人女性が黒人の彼氏を自分の両親に紹介するという、ドタ…

『狂い咲きサンダーロード』を観た

1980年。石井聰亙監督。時々見たくなる本作。なんだろうか、この良さ。ラストのアーマーに身を包んだ主人公のかっこよさ。泣きたくなるかっこよさ。 元リーダーで結局好きな女に逃げられるあの男のキャラクターが今回は気になってしまった。なんか不思議。す…

『サイダーのように言葉が湧き上がる』を観た

2021年。イシグロキョウヘイ監督。俳句を扱う青春アニメ。面白かった。最後のアレを割ってしまうシーンでは「あっ!」と,思わず声を出してしまった。デイサービスとYouTubeやってるチャキチャキの女の子と俳句好きな少年と、色々とチグハグな組み合わせなの…

『THE DEPTH』を観た

2010年。濱口竜介監督。面白かった。随分と若々しい感じがしたけれど、2010年の作品なのね。『PASSION』よりも走ってるような印象があった。ヤクザ、男娼、カメラ、友情、結婚。いろんな分かりやすい要素はあるのだけど、どれも分かりやすく撮られてなくて面…

『ゴーストワールド』を観た

2001年。テリー・ツワイゴフ監督。素晴らしかった。こんな素晴らしい映画が2001年にあったことを全然知らなかった。 ソーラ・バーチが本当にステキ。ふわふわとしていて、勝手で、理屈っぽいのに、とても直情的。そのやり場のない怒りや悲しみを掬い取ってく…

『バービー』を観た

2023年。グレタ・ガーウィグ監督。面白かった。細かい設定などは完全に置き去りにして、激しい展開とギャグで2時間を押し切った感じ。『マリオ』の映画の時も思ったが、かなりフェミニズムを直球で投げてくるのだが、これを見る「特に自分をフェミニストだと…

『リコリス・ピザ』を観た

2022年。ポール・トーマス・アンダーソン監督。面白かった。1秒も覚えていない『インヒアレント・バイス』も面白かった記憶があるが、PTAのじわじわくる面白さはどこかよそよそしさも感じる。日本人には直感的には掴み取れないローカルな肌感覚のようなもの…

『ガフールの伝説』を観た

2010年。ザック・スナイダー監督。ふくろうたちの物語。悪いふくろうを良いふくろうが退治する冒険譚だが、登場人物がすべてふくろなのが面白い。 原作は有名な児童文学(?)のようだが、なぜふくろうなんだろうと思ってしまった。まあふくろうは魅力的な生…

『ベオウルフ 呪われし勇者』を観た

2007年。ロバート・ゼメキス監督。いやぁ、バカっぽい。でも大好きな作品。第一部と第二部で話が分かれているけど、映画オリジナルの部分も含めて、とてもキレイにその2つの話が繋がっている。よくできている作品だと思う。けっこう、感心する脚本の出来。素…

『男はつらいよ 純情篇(6作目)』を観た

1971年。山田洋次監督。オープニングの長崎五島の実家に戻る女性を助けるエピソードがいい。その女性役が宮本信子で、その父親が森繁久彌。この最初のエピソードがいきなりグッとくる。そして、とらやに住み込みになる若尾文子がマドンナ。美人すぎるその風…

『美しき結婚』を観た

1982年。エリック・ロメール監督。それなりにステータスのある男性と結婚することで、惨めな人生を一発逆転したい女性の奮闘の物語。 しかし、エリック・ロメールは女性を主人公にしたエグい恋愛話をよく書けるなぁと本当に感心する。 その「こう考えるんだ…

『君たちはどう生きるか』を観た

2023年。宮崎駿監督。結構、分からない映画だった。母親の存在が大きそうな印象もあるのだけど、やはりメインはアオサギとの関係が主題なのかな?と思った。 自分の頭の中だけで考えて、自分の力だけで物事が進められると考えることの傲慢さ。主人公が自分の…

『飛行士の妻』を観た

1981年。エリック・ロメール監督。恋人の元カレへの嫉妬から、その元カレへの尾行を行う男。様々な偶然が絡む、どこか皮肉な恋愛喜劇。 撮影監督がネストール・アルメンドロスではなく、ベルナール・リュティック。一目見て、雰囲気の違いがわかる。アルメン…

『海辺のポーリーヌ』を観た

1983年。エリック・ロメール監督。ロメール作品の中でも、有名な作品というイメージがある。『夏物語』でも魅力的だったアマンダ・ラングレが主演。最初は、ポーリーヌのおばさんであるマリオンは美人だけど、ややダメそうな女性にも見える。しかしラストま…

『モード家の一夜』を観た

1969年。エリック・ロメール監督。数学教師である主人公は教会で出会った金髪美女を見て、一目で「この女性と結婚する」と確信する。一方で、哲学教師である友人に誘われて、なぜかその友人の女友達モードの家に泊まってしまることになる。主人公は、その2人…

『パリのナジャ』を観た

1964年。エリック・ロメール監督。14分の短編。Blu-rayのブックレットを読むと、フランス外務省の企画から制作されたドキュメンタリー作品のようだ。モデルになっているナジャは後に社会活動家、作家、教師になる人物とのこと。 セルビア出身の異邦人ナジャ…

『ヴェロニクと怠慢な生徒』を観た

1958年。エリック・ロメール監督。19分の短編。生意気で勉強にまるでやる気のない少年と、教え方が決して上手そうでもない家庭教師の女性との微笑ましいやりとり。 前半を数学、後半を作文の勉強シーンが描かれる。フランスでも分数の割り算がなぜ逆数になる…

『紹介またはシャルロットとステーキ』を観た

1951年。エリック・ロメール監督。約10分の短編。主演はジャン=リュック・ゴダール。ステーキをコートを着たまま焼く女。それを見る男。無造作な振る舞いがどこか面白い。ちょうど広末涼子の不倫騒ぎがあり、肉を食うと浮気してしまう広末涼子、という話(…

『シュザンヌの生き方』を観た

1963年。エリック・ロメール監督。主人公は薬学部に通う男。彼は親友ギョームの恋人であるシュザンヌを少し小馬鹿にしている。プレイボーイのギョームに弄ばれ、かと言ってそのことを恥じるような雰囲気もないシュザンヌに同情を寄せる気にもならない。その…

『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー Vol.3』を観た

2023年。ジェームズ・ガン監督。面白かった。面白かったが、1や2ほど盛り上がったかと言われれば、やや穏やかな作品だったなと思った。派手ではあるんだけど、敵であるハイ・エボリューショナリーの賢い博士みたいなキャラクターが、どこか地味でもある。た…

『ザ・スーパー マリオブラザーズ・ムービー』を観た

2023年。アーロン・ホーバス監督、マイケル・イェレニック監督。 びっくりした。面白かった。子供も楽しめる無意味さとノスタルジーを刺激する要素のバランス感覚が見事な映画だった。これに比べると『名探偵ピカチュウ 』(2019)などは、単にポケモンの出…

『ハリーポッターとアズカバンの囚人』を観た

2004年。アルフォンソ・キュアロン監督。シリーズ3作目。オープニングから素晴らしい画が続く。観てて楽しく、素朴にかっこいい。シリーズの中でもわかりやすく素敵な作品だと思った。 相変わらず、ハリーポッター作品は、色々と唐突にイベントや話が展開す…

『5時から7時までのクレオ』を観た

1962年。アニエス・ヴァルダ監督。以前見た『幸福』がかなり衝撃的だったので、いつか代表作と言われるこの『5時から7時までのクレオ』も見たいと思っていた。今回、たまたま見る機会が得られて良かった。 素晴らしい作品だった。死の恐怖から、世界が、他人…

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』を観た

1988年。富野由悠季監督。面白かった。昔見た時よりも面白かった。特に『水星の魔女』を見た後だと、これこそ見たかったモビルスーツ同士の戦闘だと思ってしまった。奇妙でおかしな人間ドラマと、詳細のよく分からない政治ドラマに、どこか胡散臭さを感じる…

『ハリーポッターと秘密の部屋』を観た

2002年。クリス・コロンバス監督。面白かった。1作目よりも、「あの序盤の場面が、後半のこの場面の布石になってたのね!」という分かりやすく、ささやかな伏線回収がいくつか存在する。そうした構成によるお楽しみが楽しい映画だった。また1作目よりも大人…

『ハケンアニメ』を観た

2022年。吉野耕平監督。柄本佑良かった。なんとも軽いリアリティがとてもアニメ的だと思った。例えば、『さかなのこ』の方が『ハケンアニメ』よりもずっと分かりやすくコミカルな作品であるが、『さかなのこ』は地に足が付いていて、多少のツッコミでは動じ…

『ハリーポッターと賢者の石』を観た

2001年。クリス・コロンバス監督。今更ながら、本シリーズ作品を初めて見た。とてもよくできている作品だと思った。原作を未読なのでなんとも言えないが、とてもテンポが良く、また決めるところは決めていくメリハリのある展開で見ていて楽しい。そして少し…

『グラス・オニオン』を観た

2022年。ライアン・ジョンソン監督。『ナイブズ・アウト』シリーズ2作目。面白かった。ミステリそれ自体をパロディ的に取り扱うその手腕は、2作目でも健在。本作は「みなが謎だと思っているものが、愚直に見れば特に謎でもなんでもないと分かる」というメッ…