映画と映像とテクストと

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『ギルバートグレイプ』を観た

ラッセ・ハルストレム監督の1993年の映画。『マイライフアズアドッグ』は高校生の頃の僕にとって「救い」のような映画だった。あの映画を見ると、いつも少しだけ元気が出た。そういう意味でハルストレム監督は特別な存在だったのだけど、異国の地アメリカで撮った本作については、なぜか見ようという気持ちになかなかなれなかった。20年越しにして、ようやく見る機会を得た。

 

『マイライフ〜』にも似た「問題を抱えた家族」の映画。その分かりやすさは、少しアメリカ的であるようでもあり、ギルバート(ジョニー・デップ)の聖人的な態度も、ある種のエキゾチックなのかと思わせる。見ているこちらの思い込みかもしれない。

 

撮影監督は、スヴェン・ニクヴィストベルイマンの数々の傑作を手がけた人で、本作のファンタジー要素に説得力と風格を与えている。見ていて落ち着く絵が多い気がする。

 

ギルバートの態度もそうだが、全てから無関心でいるような振る舞いをするのは監督の持ち味だと感じる。取り乱すこともなく、泣き叫ぶこともしない。不自然なくらいに冷静でいることで、他者に100%は理解され得ない自我がかえって表現されているようで面白い。