映画と映像とテクストと

映画や読んだ本などの感想を書きます。ビデオゲームについてはこちら→http://turqu-videogame.hatenablog.com/

『モモ』を読んだ

ミヒャエル・エンデの『モモ』を読んだ。今まで一度も読んだこともなく、なんとなく読んでおきたいなと思い読んだ。大変感動してしまった。

 

『モモ』には大人も強く頷いてしまうような「深い言葉」や「名言」がある、というような感想を時折目にするが、個人的には少し違う感覚を抱いた。何かそういう「深み」というものを極限まで回避して、しかしながら単純素朴な語りでは陥ってしまいそうな底の浅い穴に決して落ちることなく、それでいて華麗に物語が紡がれていることに強く感動した。

 

大人が感じ入ってしまう言葉では「ない」ことの強さというか、美しさというか、それは決して「浅い」というわけでもなく、ましてや賢しらな大人たちがありがたがるような名言ではないところが素晴らしいと思った。

 

決して言うべきでないことを言わない賢さ。カメのカシオペイアのようなかっこよさがある物語だった。

 

どうでもいい話だが、ドイツ語版のラストのイラストはやはり甲羅に「Ende」と書かれているのだろうか。作者の名前とのダジャレになっているのかな。どうなんだろう。