映画と映像とテクストと

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『スパイダーマン:スパイダーバース』を観た

2018年。ボブ・ペルシケッテ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン監督作品。傑作。もうみんなが褒めまくってて、これ以上何をかいわんやという感じだが、今回改めて見てみて、本当にあらゆる要素が丁寧で、素晴らしいと思った。

 

日本の深夜アニメ的な想像力に裏打ちされたアニメは、僕には難しすぎる。このぐらい分かりやすく作ってくれないと、正直楽しめないし、こういうアニメが出てくることで、アニメそれ自体への期待というのも高まる。

 

アイデンティティの問題を具体的に取り扱って、そこに真正面から取り組もうという姿勢が好きだ。もちろん本作も「都合良過ぎ」な部分があるとは思うが、現実への取り組み方にここまで生真面目であることには、やはり希望を感じる。現代社会において、プロテストすることの価値が根っこのところで維持されていて、現状を受容することの賢さに溺れず、節度あるバランスを示していることには素直に感心してしまう。そういう思想が、これまでにないアートワークを生み出そうという意思と反骨的な精神という点で繋がってるのではないかと思わせてくれる。すごい仕事だと思う。頭が下がる思い。傑作。