1993年。トニー・スコット監督。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を見て、久しぶりに本作が見たくなってしまい、鑑賞した。とても馴染みやすく、映画としてのまとまりが良い。破天荒なタランティーノの世界の中では、最も分かりやすく共感しやすい作品ではないかと思う。
おそらく人気も高いであろうシーンは、デニス・ホッパーとクリストファー・ウォーケンのムーア人とシシリア人についてのやりとりの場面。これぞ映画的エンターテイメントという気がする。こういうのを「安全に」ポリコレ的に描くのは実に上手い。意地悪な言い方かもしれないが、それにしても良くできたシークエンスであると思う。
時折流れる木琴風のメインテーマが実にいい。ナードな側面を見せるクリスチャン・スレーターをパトリシア・アークエットの胸と素直さが優しく包み込む。これはオタクの夢であろう。このテーマを聴くと自然とセンチメンタルになり、トゥルーなロマンス、トゥルーなロマンスと口の奥で何度も唱えてしまいそうになる。大変キモいので注意したいところだ。
今回見直してみて改めて思ったのは、これはすごくトニー・スコットの映画だなということ。タランティーノにはないウェットさが、逆にどこか物足りなさを感じさせつつも、しかしこの映画の良さでもあると感じる。