映画と映像とテクストと

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『ビリー・ザ・キッド 21才の生涯 特別版』を観た

1973年。サム・ペキンパー監督。既にペキンパーの死後ではあるが、2005年に監督の意思を尊重して再編集されたというバージョン。いやぁ、良かった。サム・ペキンパーの西部劇は、出てくる登場人物の意図が全然読めない行動を取るのが本当に面白い。ずっと黙ってるし。何をしたいのか全く分からない。しかしほのかに伝わってくる、その男臭さ、バカさ、気位と傲慢さ。たまらない。本能の赴くままに生きているかのように見えて、とても着飾っている行動の数々がとてもいい。滅びの美学なんて言われることも多いが、個人的には腐っていく美学という感じがする。

 

日本語タイトルだとビリーを中心とした映画のようだが、原題のとおりパットとビリーの映画。そしてパット・ギャレットの生き様が実に良い。こんなに「安定を求めてる」をカッコよく言える映画があるだろうか。ボブ・ディランの歌も聴きどころ。ビリーを哀しく歌い上げ、彼に同情する歌詞であるが、どこか冷静にも思える。バンバン撃ち合うし、バンバンヤリまくる。しかし知的な眼差しがある。とてもいい映画だった。20年前の学生の頃には理解できなかったが、ペキンパーの映画が最近になって、ようやく理解できるようになってきた気がする。