2018年。アリ・アスター監督。あのガブリエル・バーンが、もう老年期に差し掛かる男を演じていることに最初、衝撃を受けてしまった。なんだか切なくなる。
前半部分の事故のシーンがとても良かったが、後半は比較的普通の悪魔ムービーという感じがして、ちょっと気持ちが落ち着いてしまった。建物内を映す時の構図など、結構かっこよくて、少しおしゃれ感のあるホラームービー。胸糞展開を盛り込むなど、部分部分の要素はありがちと言えばありがちながら、トータルとして綺麗に織り交ぜられているなと思った。
ただ、この映画が見ている者の心をざわつかせることだけに腐心しているように思えてしまったところはある。なぜ祖母は解離性同一障害である必要があったのか(それを病名として言うことに何の意味があるのか)。娘や息子のビジュアルがなぜあのような一種の醜さを持っている者として描かれたのか。それはちょっと分かりやすすぎるあざとさに思える。独特のビジュアルセンスはあるものの、どこか薄っぺらく感じた。