映画と映像とテクストと

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『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』を観た

1984年。押井守監督。最初見たときは、前半の「永遠に続く学園祭前日」というモチーフが魅力的すぎて、後半の夢邪鬼との戦いとかあまり印象に残っていなかった。しかし今回は落ち着いてその後半部分を改めて楽しむことができた。

 

ラムちゃん諸星あたるにとってどのような存在なのかを語るところが興味深い。わがままで、無鉄砲で、自分勝手で、そういうバラバラなものが何か一つのことを為すということの魅力というのは、正直言うと、よく分かっていない。斉一で、整然として、翼賛的なものの美しさの方がずっと分かりやすい。そんな自分にも、こうしてバラバラなものたちの学園祭はとても魅力的に見えた。深夜タクシーに乗って、夜の街灯が窓に映る、その寂しさがバラバラなものたちの心を静かに癒す。

 

起こってしまっているトラブルの深刻さに比べて、無邪鬼の関西弁と振る舞いは不釣り合いに軽い。その軽さが、その無邪鬼を退治する諸星たちの軽さと不思議とマッチして、むしろそうした軽さを持つ者でなければ、この事態を克服できないだろうという、奇妙な納得感として腹に落ちてくる。凄いバランスの作品だなぁと改めて思った。面白い作品だと思う。