映画と映像とテクストと

映画や読んだ本などの感想を書きます。ビデオゲームについてはこちら→http://turqu-videogame.hatenablog.com/

『チャップリンの殺人狂時代』を観た

1947年。チャールズ・チャップリン監督。面白かった。今まで見たチャップリンの映画の中では、一番すんなりと見れたような気がする。今までチャップリンの映画にはどうしても苦手意識があったのだけど、本作はそういう感覚をあまり抱かなかった。

 

資本主義とか戦争とか、そういうものを批判する映画としてとても素朴に見えなくもないのだけど、やっぱりチャップリンは賢い人なんだろう、喜劇性や滑稽さというものが、本当に上手く効いている。殺人者であるヴェルドゥの妻子への接し方や、出所してきたばかりの女性に優しくする場面など、見る者をそれとなく不安にさせ、ヴェルドゥと我々とが地続きであることを伝えてくる。社会批判をする映画というよりも、我々が加害者であり、当事者であることを知らせようとしているようにも思った。そのいたたまれなさが、ラストの処刑場に向かう背中から感じられた。

とにかくチャップリンの映画は、どれもラストシーンが上手い。