映画と映像とテクストと

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『拳銃王』を観た

1950年。ヘンリー・キング監督。西部一の早撃ちと名高いジミー・リンゴの物語。カイエンの酒場を舞台に入れ替わり立ち替わり、様々な人間がリンゴに会いにくる。その様が非常に面白い。ある者はリンゴに勝負を挑み、ある者は追放しようとし、ある者はかつての妻に会わせてくれようと気にかけてくれる。唯一、リンゴのことを認識しない男、小さな牧場で妻と幸せに暮らす男だけが、ジミーにとっても癒しのようになるのは面白い。ちょっとあのシーンでホッとするのは、ジミーだけではなく観客もだろう。

 

ラスト、追手の3人のうち2人だけが捕まる。で、結局、ジミーを撃つのはハントという追手とは別の若者。残りの追手の1人はどうなったんだろう?少し不思議に思った。

最後が呪いのビデオのように終わる一方で、英雄は死によってしか終われないという諦観もある。『シェーン』や『真昼の決闘』のように英雄はただ町を去るのではなく、死ぬしかなかった者として描くところは、足早なロマン主義とも感じるし、冷徹なリアリズムのようにも感じる。不思議な後味の作品だった。