映画と映像とテクストと

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『宮本武蔵』を観た

1961年。内田吐夢監督。叫ぶ。みんなが叫ぶ。それがちょっと面白い。そして笑う。狂ったように笑う。最後、武蔵が牢に入れられる流れがすごく急テンポで、なんというか、それもおかしな感じがして面白い。そして武蔵が書物を読み、学問を学ぶことでいきなり「命をいとおしむべきだ」みたいに開眼してしまうのも面白い。今まで散々好き放題しておいて、いきなりそうなる。静かにみんなが狂っているようにも見える。

 

宮本武蔵というタイトルから期待されるような剣豪同士の決闘のようなシーンは全然ないし、宮本武蔵のカリスマ的な魅力を演出するような作品ではないが、それでも2時間、退屈しないで楽しく見れた。続きも気になる。セットの豪華さなど見るべきところが多いのもあるが、途中から出てくる沢庵和尚の存在も大きい。野卑で身勝手な人間ばかりが出てくる戦国の物語の中で、唯一人間の言葉が通じそうな沢庵和尚が、見ている者の安らぎどころになっている。