映画と映像とテクストと

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『プラダを着た悪魔』を観た

2006年。デヴィッド・フランケル監督。面白かった。テンポも良くて、細部も品がいい。原作に比べてミランダ(メリル・ストリープ)はより甘くなってる感じもあるそうだが、それはそれでエンタメ的で悪くなかったと思う。アン・ハサウェイのかわいさもさることながら、メリル・ストリープがとにかく素敵だった。ファッションに全く興味のない自分にとっても、なんだかきらびやかなファッション業界がとても素敵に見えた。覚悟が決まっている人間は実に気持ちがいい。

 

最後に元彼との元さやに収まる感じなど、やや残念な感じもあるだろうが、そういうのも含めて、きらびやかな世界を自ら去っていく展開なのは興味深いと思った。その生き様が2006年という時代の感覚として共感得るものとしてあっただろうことが面白い。2020年の今では、より一層「あんなドギツそうな世界より普通の新聞記者の方がいいでしょ」となるのだろうか、それとも「あんな好条件なキャリアを活用しないなんてもったいないでしょう?」となるのだろうか。なんとなく前者の人の方が今だとより多そうな気がするがどうなんだろうか。ロマンや夢が、一筋縄でいかない、意外に複雑な欲望の絡み合いなのだと示しているように思えるところが、この作品の魅力のように感じた。