映画と映像とテクストと

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『宮本武蔵 巌流島の決斗』を観た

1965年。内田吐夢監督。面白かった。確かに全5作の中で、1番を決めたら第4作目の『一乗寺の決斗』になるかもしれない。しかし、この5作目はかなり全体として引き締まっていて、実にテンポよく話が進む。特に長岡佐渡役の片岡千恵蔵が実にいい。武蔵の味方として、その堂々たる感じが見ていて好ましかくて、安心感がある。

 

高倉健佐々木小次郎もなんだか高倉健だと思うと面白くなってしまう。お殿様の里見浩太郎も若い。子役の伊織(金子吉延)は、個人的にはこれまで出ていた城太郎(竹内満)よりも好ましく思えた。派手な戦闘はなく、武蔵も子供を殺してしまったことを闇として背負うような物語であり、陰鬱な雰囲気の物語と思いきや、見た後の味わいとしては意外に清涼感があるようにも思った。

 

また、全五部作を最後まで見て思ったのは、中村錦之助がどんどん魅力的に見えてきたなぁということ。武蔵が画面に映ると、それだけで嬉しくなってしまうし、画面が引き締まったような感じを受ける。なかなか面白い大作だった。