1963年。イングマール・ベルイマン監督。嫌悪し合う姉妹のホテルでの生活。妹の一人息子を含めた3人のチグハグで奇妙な有り様が、過剰に性的なイメージで彩られる。
セックスや裸体の表現はもちろん、自慰行為、少女的なドレスを着させられる少年、劇場での人目を気にしないセックスなど、意味を考えさせる以上のイメージで押し切っていく感じが、強引ながら妙な納得感のある抑制とともに画面に映されていく。小人の劇団のイメージもよく分からないけれど、戦時下にありそうな不穏な世界観とやや不謹慎にマッチしている。
ホテルのイメージは、キューブリックの『シャイニング』などを最初想起したが、妙に暑がるところなどはコーエン兄弟の『バートン・フィンク』も思い出す。ホテルという存在が持つ歪さが凄くよく出ていて、そこは見応えがあった。
ベルイマンの映画というのは、分かりにくそうで、ものすごく分かりやすい。この分かりやすさは、なんというか、評価に戸惑うようなところもあるけれど、やはり自分はとても好きだ。「どんな主義主張も負けてしまう、あの怖ろしい力に…」とはどんな力なのか。インテリの姉の苦悩とは何で、愚かな妹の苦しみとは何か。すぐに何かが思いついてしまい、その分かりやすさとは一体何なんだろうと考えてしまう。