映画と映像とテクストと

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『コレクションする女』を観た

1966年。エリック・ロメール監督。男の気まぐれを描く映画。そういえば『愛の昼下がり』も最後の最後で愛人とセックスしない選択肢を選ぶ映画だった。まあ、あれはその後、奥さんとするんだが。こういう気まぐれってあるよねと思うのは、一体なんだろうと思う。ちょっとしたきっかけで、冷める。そんな話はよく聞く話だけど、この映画の最後は「冷める」というのとも少し違う。どこかここには「男らしさ」にこだわるような気持ちがある。直前に村上春樹の『女のいない男たち』を読んだこともあり、そこでの男たちとえらく違うなという印象を持った。女と別れるという点については同じなのに、結構ちがう。もっとずっと滑稽であり、その滑稽さを誇るようなところがある。春樹のようにウジウジするのではなく、「バカで良いんだ、バカで」というノリ。ロメールという人は実に正直というか、素朴なところがあって、その薄っぺらさにこだわる気持ちにどうしようもなく賛辞を送りたくなる気持ちがある。

女1人に男が2人で一つの家に暮らすというと、トリュフォーの『突然炎のごとく』を思い出すが、それと被るようなところもありつつ、結構違う。よりコミカルであり、軽快であり、図々しい。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』のような雰囲気もあるが、あそこまで哀しい感じでもない。ロメールらしい謎の優しさを感じる。