映画と映像とテクストと

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『無法松の一生』を観た

1943年。稲垣浩監督。中盤の運動会のシーンでは思わず泣いてしまった。素晴らしかった。なんというか、なんでもない映画であるようにも思うのだけど、これぞ、これぞ、とも思う。阪東妻三郎の愛らしさ。撮影は宮川一夫。車の屋根と持ち手とが構成する斜線の美しさ。良い。

戦前の検閲で、無法松の告白シーンが削除されているとのこと。1953年版はそうしたシーンも復活した作品なのかな。あわせて見てみたい。

ただ、一方で、その告白シーンがなかったからこその良さみというのもありそうに思う。どうなのかな。いずれにしろ、良かった。約80分。わずか80分に込められた人間の一生。車寅次郎は、この無法松の職業から来ているのだとウィキペディアにはある。寅さんが、どんどんと丸くなっていったのは、正に無法松の一生をなぞっているようにも思える。