映画と映像とテクストと

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『スターシップ トゥルーパーズ』を観た

1997年。ポール・バーホーベン監督。2024年に発売されたゲーム『ヘルダイバー2』が人気になり、そのゲームの演出がかなり『スターシップトゥルーパーズ』に似ていた(というかそのまんまな描写もある)。そのこともあり、俄かに本作『スターシップトゥルーパーズ』がネット配信の視聴数でランキングが上がるなどした。同じ理由で、私も思わずこの作品を見直してしまったわけだが、やはり大好きな映画。面白い。

本作は管理社会の怖さや不条理さを滑稽に描くことによって、反管理社会、反戦の映画としてのスタイルを取っているが、この作品の魅力は管理社会や権威への欲望や戦争の素朴なカッコ良さへの人々の憧れを実に気持ちよく映像化している点にある。きわめて反動的な映画として見るべきであると思う。本当にリベラルで民主的な価値観が素晴らしいと伝えたいのであれば、主人公のリコ、ズィム教官、ラズチャック隊長をあんな風に素敵に描くわけがない。もちろん、そういう欲望を観客に感じさせた上で、何かを反省させたいという意図もあるのかもしれないが、やはり本作が愛されるのは「戦争の英雄はカッコよく」「社会秩序を重んじる権威体制が揺るぎそうにない社会への憧憬」があるからだろう。むしろ、その人々の欲望から逃げないことこそが、ポール・バーホーベンの説得力なのだろうし、魅力なのだろうと思う。