映画と映像とテクストと

映画や読んだ本などの感想を書きます。ビデオゲームについてはこちら→http://turqu-videogame.hatenablog.com/

『グラス・オニオン』を観た

2022年。ライアン・ジョンソン監督。『ナイブズ・アウト』シリーズ2作目。面白かった。ミステリそれ自体をパロディ的に取り扱うその手腕は、2作目でも健在。本作は「みなが謎だと思っているものが、愚直に見れば特に謎でもなんでもないと分かる」というメッセージを提示する作品だった。これがそのままポストトゥルース社会への批評となっている。おそらくイーロン・マスクをモデルとしたであろうメインキャラクターへのおちょくり方も面白い。

『ドント・ルック・アップ』(2021、アダム・マッケイ監督)のような正面からの社会批判映画であるが、個人的には『ドント・ルック・アップ』のようなややサービス精神旺盛なノリよりも、ライアン・ジョンソンの本作の抑え気味の語りが好きだなと思う。

ただ前作以上にNetflix的な作品になったという印象はある。舞台セットなども凝っているのでお金はかなり掛かっているようにも思うけど、どこかテレビドラマのような視線の低さというか、安っぽい雰囲気がある。ただ、それがそのままメッセージとも重なるような気もする。