映画と映像とテクストと

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『ゴーストワールド』を観た

2001年。テリー・ツワイゴフ監督。素晴らしかった。こんな素晴らしい映画が2001年にあったことを全然知らなかった。

ソーラ・バーチが本当にステキ。ふわふわとしていて、勝手で、理屈っぽいのに、とても直情的。そのやり場のない怒りや悲しみを掬い取ってくれるのは、来るはずのないバス停に来るあの世とを接続するバスだけ。このイメージも美しい。

「大人になれ」で済ますには、あまりに悲しすぎる悲しみ。ソーラ・バーチのように若くても、そしてあのバス停で待ち続けた老年の男性であっても同じなのだ。年齢や世代に回収されない、もっと普遍的な悲しみがある。自分たちが見ないふりをしていることを、ただソーラ・バーチはあまりに生真面目に見つめ続けるからこそ、あのバスに乗れてしまう(乗ってしまう)のだろう。