映画と映像とテクストと

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『劇場版 機動警察パトレイバー』を観た

1988年。押井守監督。どちらかと言えばPart2の方が好きなんだけど、1も良いよね、と思いながら見た。見終わると「やっぱりPart2の方が好きだな」と思った。

 

帆場暎一というキャラクターのミステリアスさが、あまりしっくりときていない印象を何度見ても自分は抱いてしまう。すでに死んでいて、でも全ての企みは完了していて、というのはとてもロマンあるプロットだと思うのだけど、そのハッタリに足るだけの帆場自身のエピソードが物足りないように思えるからかもしれない。

 

その点、Part2では柘植行人(つげ ゆきひと)が最後に生きているのが良い。大それた犯罪を犯した人物をミステリアスなままにしてしまうことは、どこか無責任というか、それは結局現実というクソに向かい続けなければならない警察官の悲哀というパトレイバー作品(後藤隊長)が持つ魅力と相反してしまうように思う。加えて、帆場が既に死んでいることで、彼が単なる愉快犯ぐらいに格下げされてしまうような気もする。Part2のラスト、拓殖への「なぜ自決しなかった」という問いは、拓殖がどこか遠くに行ってしまった人ではないという実存的なリアリティを担保するのに効果を発揮しているように思う。