映画と映像とテクストと

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『ヴェロニクと怠慢な生徒』を観た

1958年。エリック・ロメール監督。19分の短編。生意気で勉強にまるでやる気のない少年と、教え方が決して上手そうでもない家庭教師の女性との微笑ましいやりとり。

前半を数学、後半を作文の勉強シーンが描かれる。フランスでも分数の割り算がなぜ逆数になるのかは「説明が面倒なトピック」なんだなとどうでもいいところが面白かった。『クレールの膝』といい、ロメールは脚フェチなんだとネットでも時々見るが、確かにあの靴を脱いだり履いたりするシーンはとても良かった。少年も一生懸命ではないが、家庭教師の女性(ヴェロニク)だって、別に真剣ではないのだ。大人は真剣ではない自分を取り繕うことができるが、子供はまだそれができないだけなんだということがよく分かる。真剣な人間が誰もいない状況で(少年の母親さえそうかもしれない)、あの靴を足で脱ぐ様だけが「真剣」なような気がしてくる。