2003年。ポン・ジュノ監督。とにかくいちいち面白い。話が巧みに展開するのでも、見事なセリフがあるわけでもないんだけど、とにかく魅せる。映画としての品質が高くて飽きない時間を過ごせる。
ポン・ジュノ監督は、なぜこんなにも魅力的な画を撮ることができるんだろう。彼のスローモーション演出などは、本当に見事で、それもこれも画の力強さが高いから様になってしまう感がある。殺人の持つ官能性も、世情の不安さも、警察の横暴さも、全てが繋がっていることを監督自身は知っているのに、はっきりそうとは言ってくれない。この焦らしこそポン監督の魅力であるように思う。良い悪いを超える、などと言ってしまうととても凡庸なんだが、監督はその超える何かを映画というもの自体に仮託しているように思える。