映画と映像とテクストと

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『遊星よりの物体X』を観た

1951年。クリスチャン・ナイビー監督。プロデューサーと脚本はハワード・ホークス。カーペンターの『遊星からの物体X』が大好きで、その元(?)となった本作をいつか見たいとずっと思っていた。見終わった印象としては、なんとも奇妙な肩透かしを食らったような感覚。しかしサスペンスでありながら妙に軽妙なノリには、確かにホークス映画っぽさもあり味わい深い。

 

何にでも変身する化け物というモチーフが全く出てこないのには驚いた。『フランケンシュタイン』に出てくるような怪物が、ドタバタと襲ってくる野暮ったさも意外だった。しかし閉じられた空間の中での描写はなかなか見ごたえがあって、しかも過剰に怖がったり、叫んだりを一切しない演出には好ましいリアリティを感じた。軍人と科学者の対立というテーマはコミカルで、どこまで真面目なのか分からなくてなるようなところもある。

 

実に変な味わいの映画だった。