映画と映像とテクストと

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『赤い河』を観た

1948年。ハワード・ホークス監督。素晴らしく面白かった。西部劇の要素が詰まった傑作。ラストの「え?なんなんそれ、なんなん!?」まで含めて、本当に面白かった。ベスト1西部劇に挙げるのはやや抵抗があるけれど、人にオススメしたい西部劇としてはナンバーワンかもしれない。

 

途中で主役交代が行われ、それが全く残念さがないのがすごい。もう納得の主役交代。こういう見事な主役交代が行われる映画ってあまり知らない。2時間14分の中で、しかも劇中の時間も何年も時が経っているわけではなく、数ヶ月の物語がキュッと見事に収まっている。前半はややスローペースで話が進むのだけど、後半は本当に流れるように話が進んでいく。

 

9000頭の牛。その迫力だけで、結構圧倒されてしまう。牛の暴走(スタンピード)のシーンは本当に凄い迫力で、全くちゃちな感じがしない。凄まじい撮影だ。

 

ラストの結末には脚本家(ボーデン・チェイス)は納得していなかったそうだが、それはそうだろう。しかしその型破りで節度も知性もあったものじゃない展開こそが、なんだか清々しくも見える。女が置いてけぼりになるのも面白い。モンゴメリ・クリフトが本当に魅力的でセクシー。ハワード・ホークスは凄い人だと思った。ホークス監督は、おそらく実際に会ったり、言葉を交わしたりしたら、いけすかないクソジジイのような気もするんだけど、やっぱりなんかある種のわかりみのようなものを持ってるんだろうなと思う。それはきっと不正義なものだろうが、魅力的でもあるのだろう。