映画と映像とテクストと

映画や読んだ本などの感想を書きます。ビデオゲームについてはこちら→http://turqu-videogame.hatenablog.com/

『クレールの膝』を観た

1970年。エリック・ロメール監督。「六つの教訓話」シリーズの5作目。このシリーズは別に話が繋がっているわけではないので、どの作品から見ても良いのだね。今作はロメール作品の中でもかなり気に入ってしまった。本当に面白かった。ラストのクレールの膝に触れるところなどは、終始笑ってしまった。オーロラも笑っている。なんともおかしい大人がなんともおかしい振る舞いをする。そのおかしみの傲慢さと滑稽さといやらしさには、本当に参ってしまう。ロメールは月に一本ぐらい見るのが、ちょうど良いような気がする。

クレールの妹であるローラは確かに素晴らしい。すべてを理解したうえで演じているのに、なんとも自然。その初々しさにジェロームのように少しいたずらをしてみたくなるが、結局、からかわれているのは大人の方かもしれなくて、だからと言って大人はその程度のことでは傷つきもしない。そのふてぶてしさ。そういう意味で、ラストに至ってオーロラの魅力が何周も回って帰ってくる。たのしいなぁ。ほんと。

ラストシーンも実にいい。終始、イジワルな気持ちは見え隠れするのだけど、どこか微笑ましく、哀しく、そして可笑しい。素敵な作品だった。