映画と映像とテクストと

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『トップガン』を観た

1986年。トニー・スコット監督。数年前に「トップガン、見たことないから、見とくか……」と思ってなんとなく見始めて、30分くらいで、見るのをやめてしまった。特につまらなかったというわけでもなく、なんかソファを離れて、そのまま見るのを忘れてしまった感じだったと思う。

新作が話題になっているので、せっかくなので旧作をあらためて見てみた。「学校」を舞台にした話だというのを何年かぶりに思い出し、正に青春劇の作品なんだということを知った。トニー・スコットの作品は『クリムゾン・タイド』(1995年)が好きだし、『トゥルーロマンス』(1993年)も好きだが、『トップガン』は、なんとも当たり障りのない作品だと思った。ただ、夕日に映える空母と戦闘機が美しい、というのはよく分かった。 『クリムゾンタイド』でも水平線と夕陽の赤みはタイトルにある通り印象的だ。

チャーリー(シャーロット)の存在がいかにも時代を感じさせるが、髪の色といい、民間からの出向者の設定といい、『機動戦士ガンダム 0083』(1991年)のニナ・パープルトンだった。そうかニナのインスパイア元はここだったんだと約36年越しに理解した。『0083』のWikipediaにも『トップガン』の影響が色濃いことは記載がある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%25E6%25A9%259F%25E5%258B%2595%25E6%2588%25A6%25E5%25A3%25AB%25E3%2582%25AC%25E3%2583%25B3%25E3%2583%2580%25E3%2583%25A00083_STARDUST_MEMORY

最後はトム・クルーズがかっこいいところを持っていく話ではあるのだけど、社会的、組織的には決していい扱いをされているわけではなく、むしろドロップアウトしてしまった若者であることは、とても80年代的な感じがした。今だと、マーベリックがもっと社会的にいい扱いをされるような描き方になるのではないか。もちろん裁判*1では全く責任がないことが証明されているが、優等生が訓練学校を卒業できるかどうかの瀬戸際にまで行くというのは面白い。挫折から復帰するのを安易に描かないところ(逆転して首席で卒業みたいには描かないところ)には創作の真面目さを感じる。

ところで、グースの妻役をメグ・ライアンがやっているというのは見ている間、全然気が付かなかった。とても印象的な役柄ではあるが、そうか、メグ・ライアンか。この後の『ユー・ガット・メール』(1998年)の方がずっと可愛くなっているような気がする。ティム・ロビンスもいたそうだが、あまり印象に残らなかった。

*1:『0083』のラストが軍事裁判シーンであるところもそのまま『トップガン』の影響なんだろう。