映画と映像とテクストと

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『ジャスティス・リーグ(ザック・スナイダーカット)』を観た

2021年。ザック・スナイダー監督。ジョス・ウェドン版の『ジャスティスリーグ』は見ていたのだが、全然内容を覚えていなくて、新鮮な気持ちで楽しめた。ジョス版は「スナイダーっぽさもあるけど、あんまり面白くないなぁ」という感想だったけど、こちらの4時間版の『ジャスティスリーグ』は面白かった。長いけれど、退屈することなく最後まで見ることができた。スナイダー監督のファンであるからということもあるのだろうが、こうも出来上がりに違いが出るのかと驚く。スナイダー版も全てが最高だったというわけではないが、それでも楽しい映画だったと思う。

後半よりも前半が楽しかった。いくつかのエピソードが実に過剰でスローモーションでカロリーが高く、クドい。このクドさをどうして許せるのか。スローモーションの下品さは当然あるが、ザックが見せるスローモーションはなぜか許せてしまう。いつか、このザックのスローモーション芸が、なぜこんなに魅力的に感じるのかは知りたいと思う。

前半の個々のエピソードもよかった。サイボーグの親子愛も良い。特に母親との学校でのエピソードが効いている。母の優しさと強さがとても魅力的だ。物語としては父親との関係がメインになるが、そこで母親のステキさ、そしてその母親から通した父の思いを最初に語らせるのはうまい。アクアマンはあまりエモい話はないが、そのぶっきらぼうな振る舞いに余計なウェット感がなくなって逆に良かったのかもしれない。ワンダーウーマンの「どうしたの?お姫さま」のセリフもニクい。後半だが、レックス・ルーサーがあまり面白みを感じさせてくれなかったところがやや不満か。(おそらく作られなさそうな)次回作以降への伏線の虚無感や寂しさが、悪い方に作用している感じもある。

いずれにしろ、この作品が一応、完結して作られて良かった。監督の境遇を含めた感慨深さというのはある。