映画と映像とテクストと

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『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー Vol.3』を観た

2023年。ジェームズ・ガン監督。面白かった。面白かったが、1や2ほど盛り上がったかと言われれば、やや穏やかな作品だったなと思った。派手ではあるんだけど、敵であるハイ・エボリューショナリーの賢い博士みたいなキャラクターが、どこか地味でもある。ただ、2回、3回見ると、味わい深くなってくるのかもしれない。

なぜハイ・エボリューショナリーは、動物を進化させることにこだわるのか。もちろん原作の設定もあるが、動物の頭がマスクのようでもあり、マスクを被らざるを得ないことから来るコンプレックスのようなものも感じられる。

メインのヴィランが求めるものが「完璧」なんていうのは、えらく素朴にも思えるが、ジェームズ・ガン自身、色々とキャンセルされそうになったりして、そういう素朴にも思えるところを描きたいと思ったのかもしれない。

2で神を打ち破るような物語を描いてしまった後に、神に匹敵する強さとは異なる価値観を、このふざけた世界観でいかに素敵なものに見せるかという点で、色々と苦労があるのだろうと思った。聖書的なモチーフと、神なき世界で最後はバラバラになるという展開は、どこか食い合わないようにも思えるが、クイルの家族の元に帰るという展開は、どこか私には腑に落ちる気がした。ある種の反動というか、しかし単なる逆張りというのでもない、ただ人間としての限界ということ、人間ってそうできてるんだ、ということへの心地よい諦めのようなものがある気はする。

「みんな違ってみんないい」はもはや誰もがバカにするフレーズになってしまっているのだけど、その全てを本気で疑っているわけではなくて、実は「みんな違ってみんないい」を、みんなどこかで守らなければならないとも思っている。だからこそ、人間はみな違うけど同じで、その同じところというのはある種の限界なんだという、そこに心地よさがある。家族というのは、その限界の一つのシンボルであるのだろう。