映画と映像とテクストと

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『三人の名付け親』を観た

1948年。ジョン・フォード監督。ひょんなことから生まれたばかりの赤ん坊の面倒を見ることになったならず者三人組の逃亡と帰還の物語。

コミカルなのに、どこか気高い。銀行強盗を行うような悪人でありながら、どこか憎めない主人公たち。こんな牧歌的な話があるのかと思うが、そういう世界なんだと受け入れてしまう。あらゆる脇役が良い味を出している。駅舎にいる太った女主人など、本当に愛らしい。野卑で下品な男たちに囲まれながら、しかし優しさやウィットも逞しさもあり、こういうのこそ、男の隠れたファンタジー的キャラ造形だろうと思う。

出産シーンなどは一切描かれない。母親の女性は、最初、画面に出てこないんじゃないかというほど出てこない。ようやく画面に出てきた時に、どこかホッとする。不思議な感覚。

どのシーンも美しい。砂漠も岩山も、そして人物のシルエットも。映画にしかない世界なのかもしれないけれど、この西部劇の世界は本当に美しいなとジョン・フォードの映画を見るといつも思う。